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ゆっくり食べるとエネルギー消費量を増やせる?


 仕事を始めてから減量したいというお客様に会う機会がとても多くなりました。多くのお客様が口にするのは、年齢と共に“代謝が落ちた”、“痩せにくくなった”というお悩みです。運動をした方が良いというのはわかっているものの、重い腰が上がらずに行動に移せないなんてこともあります。そこで、誰でも簡単に始められる『食べ方の工夫』でエネルギー消費量をアップさせられたら良いですよね?


1日のエネルギー消費量は基礎代謝量、食事誘発性熱産生(diet-induced thermogenesis : DIT)、活動時代謝量の3つによって左右されます。この中でもDITは、食事の消化吸収や、食事をみたり、匂いを嗅いだり、料理を味わい神経が興奮することでエネルギー代謝の上昇がみられることがわかっています(LeBlanc J, et al., 1988)。


 人の安静状態で消費されるDIT量は、1日のエネルギー消費量の約10%を占めます。1日のエネルギー消費量が1500kcalの人の場合、DITは約150kcalです。このエネルギー消費量を増やすための食べ方の工夫がいくつか明らかになっていますが、今回は『食べる速さ』についてお話しをしたいと思います。


表1:食べる速さがDITに与える影響を調べた研究(Hamada Y et al., 2016)



図1:研究結果(Hamada Y et al. 2016)


 上記の研究(表1)では、同一の対象者に621kcalの試験食を早く食べた条件(食事時間:304±32秒)と遅く食べた条件(食事時間666±64秒)で食後3時間のDIT(kcal)を比較しました。結果として、DITは遅食いの方が15kcal高いという結果になっています(図1)。他の研究でも、遅く食べた方がDITは高いという結果は一致しています。


 この結果が1日3食、1年間継続したと仮定すると、16,425kcalとなり、おおよそ脂肪2kgに相当します(図2)。



図2:1年間(1日3食)遅く食べた場合に増えるエネルギー消費量



 これだけのエネルギー消費量を運動で増やそうと思うと、60kgの人が20分間のジョギングを1年間に110回(2-3回/週)する必要があります。なかなかの運動量になりますね。


 トレーニングをすることで活動時代謝量を増やしたり、筋肉をつけて基礎代謝量を増やすことも大切ですが、まずは良く噛んでゆっくり食事をすることから始めてみてもいいかもしれませんね。


管理栄養士:浅野実久

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