スクワットは、下半身の筋肉、主に大腿四頭筋(太ももの前面)、ハムストリングス(太ももの後面)、大殿筋(おしり)を効率的に鍛えることができるトレーニングです。
図1:スクワットで鍛えられる下肢の筋肉
メディアなどで頻繁に取り上げられることもあり、自宅でやっているという方も多いと思います。しかし、スクワットをしていても太ももの前ばかりがつらく、太ももの裏やおしりに効いていないという方は意外と多いのではないでしょうか?そんなお悩みを抱えている方はぜひ本記事をお読みください。太もも裏やお尻に効くスクワット方法を科学的に説明していきます。
過去に、健常男性10名を対象として「一般的なスクワット」と「手を前に伸ばし、可能な限りつま先に荷重したスクワット」を比較し、部位別の筋活動量に違いがあるか検討した研究があります(図2)。
図2:(写真:一般的なスクワット(左)とつま先荷重のスクワット(右))
その結果として、一般的なスクワットよりもつま先荷重のスクワットにおいては内側広筋(太ももの前面)の筋活動量が低く、半腱様筋(太ももの後面)および腓腹筋外側頭(ふくらはぎ)の筋活動量が高いことが明らかとなりました(図3)。
図3:各筋の筋活動量の違い(一般的なスクワット vs つま先荷重のスクワット)
*:一般的なスクワットとつま先荷重のスクワットで有意に差がある(p<0.05)
※%MVC(最大随意筋力率):最大の筋力のうち、スクワット中に発揮された筋活動量の割合
以上のことから、 一般的なスクワットは内側広筋および前脛骨筋など体の前面にある筋肉を効率的に鍛えることができ、つま先荷重のスクワットは半腱様筋および腓腹筋など体の後面にある筋肉を効率的に鍛えることができると考えられます。
太ももの前面ばかりがつらいという方は、体重のかける位置をもう少しつま先側にして行ってみましょう。
引用:Kitamura T, Kido A, Ishida Y, Kobayashi Y et al.: Muscle Activity Pattern with A Shifted Center of Pressure during the Squat Exercise J Sports Sci Med, 18(2), 248–252, 2019.
アスレティックトレーナー :中島千佳